沖縄戦跡巡りの旅571

すぎやんま

2011年03月04日 00:58

  



 誰も写っていない記念写真。

 時々、撮影時に思わず「なまからさしんぬじゅーんどぉー!いんじみそーりよー!(今から写真を撮るから出てらっしゃい!)」と声を掛ける事がある。暗闇から返事は来ないし、戦没者が写ったり見えたりするわけではないのだけど、呼ばれなくてもカメラを前におどけている兵隊。ポーズをとってカッコつけている若い防衛隊員。勝負顔をしている女子挺進隊員などが居たりして.....と思うことがある。

 照明装置をあーでもないこーでもないと行ったり来たり置きなおして撮っているのだが、何だか彼らと一緒に遊んでいるような錯覚を感じる事もある。少なくても私にとってガマや壕の中は、怨念や無念のこもった場所では無くなってしまった。変な話結構くつろいでいるし楽しく撮影している自分にふと気づいて不思議に思うこともしばしば。

 恐らく、読経や「ウートートアートート」、お供え物のお酒や線香には飽きているかもしれない。私はサングヮーもマースも持ってゆかない。ペットボトルにさんぴん茶が残っていれば岩棚に掛けて回る程度。これも死者との連帯というのか?183箇所延230回以上ガマや壕に入っているので、あちらの方々にも知れ渡っているのかもしれない。

 撮影を済ませて壕から出た後の気持ちは、何故か他に例えようのない位に清清しい。

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